- チックがあるけど友達や恋人をつくってキャンパスライフを楽しみたい
- チック症がある大学生って自分以外にもいるのかな?
- 就活や将来の仕事へのチック症の影響が気になる
一度しかない大学生活、思いっきり楽しみたいですよね。
この記事では、
- 大学生活におけるチック症への対策
- チック症の乗り越え方
- 留年したときのチックとの向き合い方
- チックがあっても友人や恋人を作り楽しい大学生活をおくる方法
- 大学で受けられる合理的配慮
- 就活でのチック症への対策
をお伝えします。
この記事を読めばあなたの大学生活が充実する方法がわかるでしょう。
大学生活でチックが気になる6つの場面と対策

大学生活でチックの症状が気になる場面を事前に知っておくことで、対策を立てることができます。
対策を立てて安心してキャンパスライフをおくりましょう。
講義中の静かな教室
静かな教室では音声チックや運動チックが目立ちやすく、周りの視線が気になって集中できません。

緊張でよけいにチックが悪化することもあります。
対策は後ろや出入口の近くに座る、教員にあらかじめ相談しておくなどの環境調整です。
発表の場面
発表中の緊張でチックが強く出ると、話が止まったり内容が伝わりにくくなったりします。
うまく発表できないせいで自己否定感が高まりやすい
対策は冒頭で「緊張すると動きが出ます」と軽く触れておくこと、事前に教員へ症状を伝えることです。
そうすると安心して話せます。
友達との会話中
会話中にチックが出ると「変に思われるんじゃないか」と不安になり、自分から話しかけにくくなります。



気を遣いすぎて自然な関係が築きにくい場合も。
対策として信頼できる友人に簡単に説明しておくこと、自分のペースでつきあえる関係を大切にすることです。
サークル活動中
サークルは人間関係が密になりやすく、チックが周りにどう思われるかが不安になりやすいです。
たくさんの人の前で緊張して症状が悪化することもあります。
対策は
- 人数の少ない気軽なサークルを選ぶ
- 必要に応じて事前に説明する
- 体調が不安な日は無理せず休む
などが大切です。
アルバイトをしているとき
接客や電話応対では、チックを変に思われたり誤解されたりすることが不安でストレスが大きくなりがちです。
ただし無理に症状を隠そうとすると悪化することがあります
対策は
- 調理などの裏方や工場などの作業中心のバイトを選ぶ
- 面接のときにチックの症状を伝えておく
- 大学の障害学生支援室などに相談する
ことです。
就職活動中
企業説明会や面接でチックが強く出ると、落ち着きがないと誤解されやすく、本来の自分を出しにくくなります。
対策はあらかじめ「緊張で動きが出ることがあります」と伝えることです。
事前の説明で印象を和らげることができます。
またチックの経験を強みに変えて伝える練習も効果的です。
例えば、チック症をかかえながらも人前での発表やアルバイトを続けてきた経験から、「困難な状況でも工夫して乗り越える粘り強さと自己理解力が身につきました」とアピールできます。
大学生活でのチック症の変化【体験談】
ここからは僕が大学生のときのチック症状の変化をお伝えします。
チック症やトゥレット症が大人になっても続く人の症状の変化はどうなるのか、参考にしていただけたら嬉しいです。
大学1年生の時のチック
大学1年生のときの運動チックは、体や腕のビクつきや顔しかめがメインでした。
音声チックは、読んだ言葉や聞いた言葉を繰り返し口ずさんだり、「ウッ」「クサッ」という単発の声や鼻をすするのがメインでした。
「クサッ」と声を発するチックは、中学生以来です。
僕のように昔出ていたチックが再び出るようになることがあります。
大学は初めての環境だったため、生活リズムに慣れるのに少し時間がかかりました。



僕には発達特性もあり、先の見通しをたてたり、広い視野で全体を捉えるのが苦手です。
そのため履修登録の要領が分からず、上限の半分しか授業を入れませんでした。
後になって、単位は入れられるだけ入れた方がいいことを知りました。
周りへ相談するのにも慣れておらず、1人で履修登録を進めてしまったせいです。
大学は高校までと比べて始業が遅いため、生活リズムが昼夜逆転をして、寝るのが夜遅くなってきました。
睡眠リズムが崩れたせいで、強迫症状はどんどん悪化していきました。
テレビの前で1、2時間強迫観念を考え続けて動きがフリーズしていたり、学校で決まった回数机を叩いたりしていました。
同じ授業を受けている人から辞めるようにクレームが入ったこともあります。
僕のように何時間も動きがゆっくりしているように見える症状を強迫性緩慢といいます。
強迫性緩慢はひどくなると日常生活をおくるのが困難に。起床、洗面、入浴などに数時間かかるようになるからです。
大学2年生の時のチック
運動チックも音声チックも1年生のときと症状はほとんど変わりませんでした。
体調が比較的よく感じるときも数ヶ月あり、アルバイトをしていたこともありました。



僕は双極性障害があるので、今考えると体調の波が上振れしていて元気に見えていたのかもしれません。
チックの頻度が減ってきた一方で、強迫症状がますます強くなりまともな日常生活を送りづらくなってきました。
体がフリーズしている時間も数時間に増えていきます。辛さもとても強くなってきました。
大学3年生の時のチック
チックの症状はあまり変化はありませんでした。
強迫症状のピークが大学3年生の時期でした。
3年生のほぼ全ての時間、強迫観念、強迫行為に苦しめられました。
平気で9時間、10時間立ちっぱなしは当たり前。夜中じゅう足踏みしていたり、長いときで72時間同じ場所に座りっぱなしの時もありました。
学校の単位もほぼ全て落としてしまいました。
あまりの様子のおかしさを見かねた両親は、精神科を勧めてくれました。嫌がる僕を半ば強制的に連れて行ってくれました。
精神科で治療することになり、投薬治療を開始しました。
リスペリドンという薬とバルプロ酸ナトリウムという薬が処方されました。
薬を飲み始めて1週間程度で強迫症状がかなり楽になりました。チックも軽減しました。
人によってどの薬が合うか合わないかは違うため、投薬は必ず医師の判断に従ってください。
この時に精神科を受診していてホントによかったです。欲をいうなら高校生のときに受診したかったです。
早期に受診できていればこんなに苦しむこともなかったでしょう。



青春だってもっと謳歌したかったです。
治療が始まってから身だしなみを整える意欲もわき、外出も普通にできるようになりました。
のちに双極性障害もあったこともわかりました。身の回りのことができなくなったり気分の浮き沈みがあったのは、そのせいだったと思われます。
大学4年生の時のチック
運動チックは首振りがメインでした。
音声チックは読んだ言葉や聞いた言葉を繰り返し口に出してしまったり、鼻をすすったりするのがメインでした。
投薬によりチックや強迫症状が劇的に減ってきたため、日常生活がものすごく送りやすくなりました。
今まで取り損ねていた単位もフルで取ることができました。
新しいことにもチャレンジするようになり、読書を始めたり、PCを買ったり、塾講師のアルバイトをしたりしました。
この頃から友達や彼女がほしいなと思えるくらい体調が良くなってきました。
留年・休学した場合のチックとの向き合い方
単位が足らずに留年したり、強迫症などの合併症が悪化して休学したりしたとき、チック症とどう向き合えばいいかお伝えします。
僕も取得単位が足らず留年しました。ここでは大学5年目のときのチック症の様子や学生生活をお伝えします。
運動チックは首振りや顔しかめがメインでした。
音声チックは読んだ言葉や聞いた言葉を繰り返し言ったり、鼻をすすったり、「アッ」と声が出たりがメインでした。
留年や休学したときにチック症とどう向き合えばいいか。



留年や休学はチック症状を見つめなおす貴重なチャンスです。
無理なく過ごせる生活リズムを整え、睡眠や栄養を大切にしましょう。
精神科・心療内科への相談を継続し、必要ならば主治医と相談し、治療法の見なおしも考えましょう。
留年・休学の期間を自分自身を理解する時間ととらえるのです。
ハビットリバーサル(置き換え行動)については以下の記事で解説しています。
復学に向けては学生支援センターに相談しましょう。合理的配慮について事前に準備しておくことで、スムーズな学業復帰につながります。
自分のペースを尊重することが最も大切
僕は単位が足りなくて留年してしまいましたが、この年もフル単位を取れたため無事卒業まで行くことができました。
一方就職活動はどう進めていいかがわからず、就職先が決まらないまま卒業してしまいました。
就活の全体像を把握しスケジュールを立てて実行することが難しい、自分を客観視しにくいため強みや弱みがわからない、などの発達特性が影響しました。
自分が興味がある会社もわからず、想像力が乏しいため働いているイメージもつきませんでした。
ただチックも強迫症状も落ち着いていて、大きな問題なく過ごすことはできました。
そして大学5年目のこの時期に念願の彼女ができました。この時期は大学生になって1番楽しく感じられました。
彼女は僕のチックに理解を示してくれました。他人にチックのことを話すのは初めてで、それを理解してくれたのはとても嬉しかったです。
この時の彼女が今の妻です。
チックがあっても友達・恋人をつくる方法


チック症があってもちゃんと友人や恋人はつくれます。
無理せずあなたのペースで交友関係を築いていきましょう。
ここでは
- 交友関係を築くコツ
- 初対面でのチックの説明方法
- サークルの選び方
について解説します。
交友関係を築くコツ
あなたが友達をつくったり恋人をつくったりするためには、相手と親密になっていく必要があります。
親密になっていく過程で、一緒に遊ぶ仲になったりお付き合いしたりします。



親密になるためには”自分から話しかける勇気”と”無理をしない関わり方”が大切です。
チック症があると緊張や不安から距離を置きたくなることもありますが、相手も完璧じゃないんだと考えることで、少しずつ心のハードルが下がります。
最初は挨拶や短い会話だけでOK。自分の好きなことや得意なことを話題にすると、自然と会話が広がりやすくなります。
チック症のことは相手が信頼できると感じてから伝えると良いでしょう。
「自分にチックがあっても関わりたい」というあなたの気持ちはきっと相手に伝わります。
相手の反応に敏感になりすぎず、拒絶されても落ち込みすぎないこと。
あなたをあるがままに受け入れてくれる人との出会いを大切にしましょう。
あなたらしさを大切にしながら少しずつ関係を深めていくことが、交友関係を築く一歩になります。
初対面でのチックの説明方法
初対面でのチック症の自然な説明には、シンプルさと誠実さがポイントです。
緊張した表情ではなく、リラックスした笑顔で「ちなみに僕はチックという症状があって、時々体が勝手に動いたり、声が出たりすることがあるんです。気にしないでくれると助かります。」と軽めのトーンで伝えましょう。
あまり大げさに説明せず自分の個性の一部として淡々と話せば、相手も自然に受け止めやすくなります。
説明後は速やかに別の話題に移ることで、チックに過度な注目が集まることを避けられます。
チック症をもつ人の学内サークルの選び方
チック症がある人がサークルを選ぶときは、”自分のペースで参加できるか”が大切なポイント。
チック症は緊張やストレスで悪化しやすいです。
そのため、自分のペースで無理なく関われる環境のほうが症状を抑えやすく、安心して過ごせます。



ルールが厳しい、上下関係が強いサークルよりも、自由な雰囲気でメンバー同士の距離感が近すぎないサークルが安心でしょう。
また趣味や関心が共通していると話題が広げやすく、チックのあるなしに関係なく自然と打ち解けやすくなります。
見学や体験参加ができるサークルなら、実際の雰囲気を見て判断できるのでオススメです。無理せず自分が居心地よく過ごせる場所を選びましょう。
大学で受けられる合理的配慮
大学で受けられる合理的配慮について解説します。
大学の障害学生支援センターの活用方法
すべての大学に障害学生支援センターがあるわけではありませんが、設置されている大学では、チック症などの見えにくい障害に対してもサポートを受けられることが多いです。
活用方法は最初に学生相談室や教務課などに「支援センターの有無」や「相談できる窓口」を確認しましょう。
支援センターがある場合、
- 講義中のチックに配慮した座席の確保
- 症状が出やすい場面での休憩許可
- 試験のときの別室受験の配慮
を相談できます。
教授との橋渡し役になってくれることもあり、自己開示の負担が軽くなる点もメリットです。
チックの悩みを1人で抱え込まず、専門の支援担当者と一緒に環境調整をしていくことで、安心して大学生活を送れます。



「相談すること自体が大きな一歩」と捉えて、気軽に問い合わせてみましょう。
通常の学生支援センターでも、チック症への配慮は可能です。
障害に特化していなくても健康上の配慮として相談すれば、授業中の座席位置調整や試験時の別室受験などの対応をしてくれます。
まずは具体的な困りごとと希望する配慮を明確に伝えてみましょう。
大学の試験・講義での配慮を受ける手順
大学でチック症についての配慮を受ける一般的な手順は以下です。
- 窓口に相談する
- 診断書や意見書を用意する
- 支援内容の面談・調整
- 教員への共有と実施
- 継続的なフォロー
1.窓口に相談する
まずは学生支援センターや学生相談室に「チック症で困っていること」を伝え、配慮を希望したいと相談します。
2.診断書や意見書を用意する
医師の診断書や配慮の必要性が記載された書類の提出を求められることがあります。
症状の具体的な内容や学業への影響が記載されているとよりいいでしょう。
事前に主治医に相談しておくとスムーズです。
3.支援内容の面談・調整
大学側と面談してどんな場面で困るのか、どんな配慮があると助かるのかを一緒に考えます。
たとえば、
- 試験時の別室受験
- 座席位置の調整(出入り口近くや後方席)
- 発表の代替課題
- 録音許可
- 必要に応じた短時間の退室許可
などです。
4.教員への共有と実施
大学側に合意された配慮の内容は教員へ伝えられることが多く、自分から伝えなくても対応してもらえる場合があります。
5.継続的なフォロー
状況が変わった場合や配慮がうまくいっていないと感じたときは、もう一度相談して調整してもらえます。
配慮の実施については大学によって対応が異なるため、気軽に窓口へ問い合わせてみましょう。
どんな支援が受けられるか
チック症のある学生が大学で受けられる支援には、例えば次のようなものがあります。
チックが激しい時期の場合
- 出席日数への対応
- 課題提出で代替可能にする
特に音声チックが激しい場合は、本人の希望があれば教員・学生へ周知をします。



「わざとじゃない」「止められない」という理解を広げることで安心して学べます。
周りがチックについて知ってくれているだけで、大学生活がとても楽になるでしょう。
他の学生に気を使わずに済むため、試験の別室受験が許可されることもあります。
また不安や緊張がチックを悪化させることがあるため、定期的なカウンセリングをしてくれることもあります。
就活でのチック症への対策


就職活動でもチックの症状で困る場面はたくさんあります。
ここでは就活とチック症についてお伝えします。
面接でチックを伝えるべきか?
就職面接でチック症を伝えるべきかどうかは、職場で合理的配慮が必要かどうかを基準に考えるのがポイントです。
面接中にチックの症状が出そうで、チック症によって誤解を受けたり採用に影響しそうならば、簡単にでも説明すると安心です。
例えば「緊張や疲れで体が動いたり声が出ることがありますが、仕事には支障ありません。」と伝えるだけでも、相手の理解が大きく変わります。
一方でチックが軽くて業務に影響しない、配慮が特に必要ない場合は無理に伝えなくてOKです。
障害の告知は義務ではなく、あくまで本人の判断に委ねられています。
ただし障害者枠での就職や職場での配慮が必要な場合は、診断書や障害者手帳をもとに、企業側と配慮内容を共有することが前提になります。
チックの症状をオープンにすることで働きやすい環境が整いやすくなります。



就職面接でチック症を伝えるかどうかは「職場で働きやすくするために必要かどうか」で決めましょう。
伝えるときもできるだけポジティブ、具体的に伝えることが大切です。
チック症に向いている職場環境
チック症・トゥレット症の人に向いている職場環境は、個人作業が中心で自分のペースで仕事ができる職場です。
常に人前で話したり緊張を強いられる環境よりも、集中してとりくめる静かな空間がある職場があっています。
休憩を自由にとれる柔軟性のある職場もいいでしょう。チックが悪化した時に一息つける環境や、必要に応じて席を離れられる雰囲気があると安心して働けます。
人間関係の面では、多様性を理解し受け入れる文化のある職場が望ましいでしょう。
障害者雇用に積極的な企業やメンタルヘルスへの配慮がしっかりしている会社は、チック症への理解も得やすい傾向にあります。
在宅勤務やフレックスタイム制度など働き方に選択肢がある職場なら、自分に合ったスタイルで力を発揮できるはずです。
チック症のほかにうつ病や双極性障害、社交不安障害などが合併している場合は、より慎重に職場選びをしましょう。
最も大切なのはメンタルヘルスへの理解が深く、産業医や保健師が常駐している職場です。定期的な面談や相談体制が整っていることで、症状の変化に早く対応できます。
働き方の面では在宅勤務制度やフレックスタイム制度がある職場が理想です。



調子の悪い日は無理をせず、体調に合わせて働けることで症状が安定します。
人間関係では過度な競争がなく、協調性を重視する職場文化が向くでしょう。プレッシャーの少ない環境で、同僚との適度な距離感を保てることが大切です。
また有給休暇や病気休暇を取りやすい雰囲気、復職支援制度が充実している職場も重要なポイントです。
症状の波があることを理解し、長期的な視点でサポートしてくれる職場を選ぶことが、安定就労につながります。
就職後に気をつけること
チック症・トゥレット症の人が就職後に気をつけたいのは、無理に症状を抑えようとしすぎないことです。
緊張やストレスでチックが悪化するため、自分の体調や症状の波を把握し、適度に休憩をとりましょう。
必要があれば上司や同僚に簡単な説明をして、誤解を減らす工夫も有効です。
まとめ
せっかく大学生活を送ることになったのなら、みんなと同じように楽しみたいですよね。
きちんと治療に向き合えば、チックや強迫症状があっても充実したキャンパスライフを送ることができます。
あなたに信頼できる友人や恋人ができて、就活もうまくいくことを心より願っています。
ここまで読んでくださいましてありがとうございました。