B型事業所に通って1年。「このまま一般就労を目指せるのだろうか」と不安になっていませんか?
一般就労を目指すなら、就職に向けた訓練が効果的です。その訓練を受けられる場所が就労移行支援です。
僕は現在、就労移行支援に通って訓練しています。利用は今回で2度目です。1度目は就職に至らず利用終了しました。その後に障害者雇用で1年働きました。
この記事ではB型から就労移行支援に切り替える条件と、手続きの流れを解説します。一般就労を目指せる人の特徴や、切り替え後の工賃・訓練内容についても紹介します。
結論として、B型から就労移行支援への切り替えは、条件を満たせば可能です。
この記事を読み終える頃には切り替えの手順がわかり、最初の一歩を踏み出せます。
B型から就労移行支援への「切り替え」とは?条件と制度の基本
B型から就労移行支援への切り替えとは、利用する障害福祉サービスを「生産活動を通じて働く力を維持・高めるB型」から、「一般就労に向けて訓練・求職活動を行う就労移行支援」へ変更することです。
B型の利用歴があるために、就労移行支援を使えないわけではありません。
はる両者はどちらも障害福祉サービスですが、目的が違います。
B型は一般企業で働くことが現時点では難しい人に、生産活動や生活リズムを整える機会を提供する非雇用型のサービスです。
一方の就労移行支援は一般企業等への就職を希望し、訓練や支援を受ければ雇用される可能性が見込まれる人が対象です。PC、ビジネスマナー、実習、応募書類、面接練習などを通して就職を目指します。
切り替えに必要なのは主に次の3点です。
- 一般就労を具体的な目標にしていること。
- 訓練を受ければ就職が見込まれること。最初から週5日・フルタイムで通える必要はありません。
- 市区町村の支給決定を受けること。本人の希望、生活・就労状況、サービス等利用計画などを踏まえて決定されます。
対象は原則として65歳未満、標準利用期間は原則2年(24か月)です。
必要性が認められれば、市町村審査会の個別審査を経て、最大1年間の更新ができます(運用は自治体によって異なります)。



2027年4月以降の延長の扱いについては、「切り替えの手順」の補足で説明します。
過去に就労移行支援を使った人が再び利用できるかどうかは、自治体の判断になります。
自治体によっては、支給決定期間を通算で2年以内とする基準もあります。



僕のケースでは、一度目の利用で、標準の2年に延長の1年を加えた期間をほぼ使い切っていました。
それでも二度目の事業所のサービス管理責任者(サビ管)と一緒に再申請し、新規で2年間の支給決定を受けることができました。
最初の見学から決定までは8か月かかりました。
再申請で準備したことは次の2つです。
- 体験利用を2か月続け「きちんと通える」ことを示す材料にした
- サビ管の方が、似た状況の人の申請で使った書式を参考に、利用が必要な理由をまとめた資料を作ってくれた
一度目は通所がなかなか安定しなかったため、二度目は申請より先に体験で、通所の安定を確かめてから申請しました。
もちろん結果は自治体や個人の状況によって変わります。それでも「一度使ったからもう利用できない」と決めつけず、まずは窓口か事業所に相談しましょう。
なお、B型の受給者証を持っていても、就労移行支援が自動的に使えるわけではありません。
原則としてサービス変更の申請と支給決定が必要です。
就労移行支援と就労継続支援、日中活動系のサービスを同じ日に利用することは、原則としてできません。(自治体の基準による。合理的な理由がある場合の例外を設ける自治体もあり。)
そのためB型の最終利用日と移行支援の開始日を調整します。
一般就労を目指せるタイプはこんな人
「一般就労を目指せるか」は障害名やB型に通った年数だけでは決まりません。当たり前ですが。
就職が見込まれるとは、今すぐ働ける状態という意味ではありません。
訓練を受けて伸びる見込みがあれば対象になり得ます。ただし最終的な判断は自治体や事業所によります。
次のような人は就労移行支援と相性がいい可能性があります。全部に当てはまる必要はありません。1つでも当てはまれば、検討する目安になります。
- 生活リズムを整えながら通所を増やせそうな人
- 自分の課題を言葉にし、練習したい人
- 働き方の条件を一緒に考えたい人
順番に見ていきましょう。
生活リズムを整えながら通所を増やせそうな人
朝に起きる、決まった曜日に外出する、疲れたら回復できる。この土台が少しずつできているなら、短時間・週数日から通うペースをつくれる可能性があります。



B型に休まず通えているなら、通所の土台はできているといえます。
自分の課題を言葉にし、練習したい人
「報連相が苦手」「面接で話せない」「PCスキルをつけたい」など、解決したいことが見えている人です。
支援員と目標を立て、練習と振り返りを続けられることが強みになります。



最初から課題がハッキリしている必要はありません。
面談で支援員と一緒に整理することもできます。
働き方の条件を一緒に考えたい人
障害者雇用を含め、どのような仕事内容・勤務時間・配慮なら力を発揮できるのかを探したい人にも向いています。
見学や実習で、頭の中の「働ける・働けない」を実際の経験に置き換えられます。
医療機関やB型の支援員と相談し、通所を安定させることを優先する選択も立派な前進です。
「就労移行支援に切り替えて後悔しない?」不安な人へのメッセージ
「B型の安心できる環境を離れて、失敗したらどうしよう」
そう不安になることもあるでしょう。工賃がなくなることも現実的な心配だと思います。
後悔しないために大切なのは勢いで決めないことです。
就労移行支援は自分に合う職場や働き方を探すために、体調管理、職業スキル、就職活動の進め方などを学ぶ場です。
利用の途中で「体調の安定が先だ」とわかっても、その気づきは無駄になりません。早めに支援員と共有して次の対策を考えましょう。
僕自身、最初の就労移行支援では就職につながりませんでした。通所がなかなか安定しなかったことが、大きな課題でした。
だから2度目は、体験利用で「通える」ことを確かめてから申請しました。
切り替える前に体験で確かめる。この一手間が後悔を減らします。
»就労移行支援が必要な人3選
切り替えの手順|受給者証の申請から事業所契約までの流れ
実際の書類名や順番は自治体によって異なりますが、基本的には次の流れです。
- 現在のB型事業所・相談支援専門員に希望を伝える
- 候補の就労移行支援事業所を見学・体験する
- 市区町村の障害福祉窓口で変更申請をする
- サービス等利用計画案を作成・提出する
- 調査・暫定支給決定を経て、受給者証が交付される
- 事業所と契約し、個別支援計画を作って利用開始する
切り替えには見学・体験から支給決定まで時間がかかります。
僕の場合は再申請でしたが、最初の見学から支給決定まで8か月かかりました(自治体や状況によって変わります)。
B型の受給者証の期限が近づいてから動くと、希望する時期に利用を始められないことがあります。切り替えを考え始めたらまず役所の窓口か就労移行支援事業所で、受給者証の有効期限と申請から交付までの目安を確認しましょう。
1. 現在のB型事業所・相談支援専門員に希望を伝える
まずは現在通所している事業所の支援員に「一般就労を目指したい」「見学したい」と伝えます。
退所を即決はせず、通所状況、得意な作業、体調面の配慮、就職への不安を整理してもらいましょう。
計画相談を利用している人は、相談支援専門員にも連絡します。
2. 候補の就労移行支援事業所を見学・体験する
複数の事業所を見学し、できれば体験利用もします。訓練内容に加え、通所時間、休憩、利用者の雰囲気、面談、実習先・就職先の傾向を確認してください。



「週3日・午前のみから」など、現実的な希望も伝えます。
僕の場合は就労移行支援の申請前に体験利用を2か月続けたことが、通所の安定を示す材料になりました。
3. 市区町村の障害福祉窓口で変更申請をする
利用したい事業所の目安がついたら、住民票のある市区町村の障害福祉担当窓口へ相談し、利用申請または受給者証の変更申請をします。B型の受給者証がある場合も、サービス種別の変更手続きが一般的です。必要書類や利用開始までの目安は自治体に確認しましょう。
補足:就労選択支援について(2026年10月時点)
2025年10月から「就労選択支援」という新しいサービスが始まりました。B型を新しく利用する人は、原則としてこのサービスを利用してから申し込む仕組みです。
B型から就労移行支援への切り替えでは、現在のところ必須ではありません。就労移行支援を新たに利用する人は、希望すれば利用できます。
2027年4月以降は、就労移行支援の標準利用期間(原則2年)を超えて更新したい人が、原則として利用することになる予定です。利用が必要になるのは切り替え時ではなく、移行支援の利用期間延長の場面のときです。制度は変わる可能性があるため、窓口で最新の運用を確認しましょう。
4. サービス等利用計画案を作成・提出する
市区町村から提出を求められた場合は、相談支援専門員と「サービス等利用計画案」を作成します。
就職目標、必要な訓練、通所日数、切り替える理由、必要な配慮を具体的にします。初めてなら相談支援を活用すると整理しやすいでしょう。
5. 調査・暫定支給決定を経て、受給者証が交付される
市区町村が本人の利用意向、生活・就労状況、計画案などを確認します。
就労移行支援は原則として「暫定支給決定」を行う運用が一般的です。2か月以内の範囲で市区町村が期間を決め、実際に利用して、サービスが合っているかを確認します(実施の有無や期間は自治体によって異なります)。
暫定期間を経て、正式な支給決定が出ると、受給者証が交付されます。受給者証には、サービス、支給決定期間、利用日数などが記載されるので、内容を確認してください。
6. 事業所と契約し、個別支援計画を作って利用開始する
暫定支給決定の期間中や、正式な支給決定の後に、事業所と利用契約を結び、個別支援計画を作成して利用を始めます(契約と個別支援計画の順番は、事業所や自治体で異なります)。
利用料金、欠席時の連絡、通所時間、支援内容は、契約前に確認しましょう。



B型を急いで退所せず、最終利用日と移行支援の開始日を調整することもポイントです。
切り替え後の工賃・利用者負担・訓練内容・生活はどうなる?
最も大きく変わるのは、B型のような工賃が就労移行支援では原則として出ないことです。
就労移行支援は生産活動の対価を得るサービスではなく、就職に必要な訓練と求職活動を行うサービスだからです。
ただし事業所によっては生産活動に応じた少額の工賃が出る場合もあるので、見学時に確認しましょう。



僕が以前利用していた事業所では毎月1~2万円の工賃が出ていました。
就労移行支援の利用者負担について
利用者負担は原則1割です。所得に応じた月額の上限があります。
・生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯:0円
・一般1(課税世帯で所得割16万円未満):月9,300円
・一般2(それ以外):月37,200円
所得の判定対象は本人と配偶者です。同居している両親の所得は含まれません。
実習先での交通費や昼食、通所にかかる費用も含めて、切り替え前に家計を確認しておきましょう。
障害年金、傷病手当金、失業給付、生活保護などを受けている人は、就労移行支援の利用や、利用に伴って得る収入(工賃など)が、受け取れる条件や金額に関係することがあります。関係するかどうかは、給付ごとにルールが違います。切り替える前に、次の窓口で確認しておくと安心です。
- 障害年金:年金事務所
- 傷病手当金:加入している健康保険
- 失業給付:ハローワーク
- 生活保護:市区町村の福祉事務所
訓練内容は事業所によって違いますが、主に以下が中心の事業所が多いです。
- PC操作、データ入力、軽作業、資格取得などの職業スキル
- あいさつ、報告・連絡・相談、電話対応、ストレス対処などの就労準備
- 企業見学、職場実習、適性の確認
- 求人検索、応募書類の作成、模擬面接、面接同行
- 就職後の定着に向けた相談や企業との調整
生活面ではB型よりも「就職後に近い生活リズム」を意識する場面が増えます。通所日数や滞在時間、提出物、面談などに負担を感じることもあるでしょう。
しかし、無理に背伸びをして体調を崩しては本末転倒です。眠れない、欠席が続く、訓練で強い不安が出るといった変化は早めに伝え、通所計画を調整してください。
支援を受けながら自分に合う働き方を探すことが、職場定着への近道です。
まずは無料相談・見学から|後悔しない事業所の選び方
就労移行支援は事業所によって得意分野が大きく異なります。
Web・事務系スキルに強いところ、軽作業や対人練習を重視するところ、精神障害・発達障害への配慮に力を入れるところ、障害者雇用の求人開拓に強いところなどさまざまです。
「有名だから」「家から近いから」だけで決めず、自分の目標と合うかを確かめましょう。
見学時は、次の5点を質問すると比較しやすくなります。
- 自分の障害特性・体調に合わせ、通所日数や時間をどう調整できるか
- どのような訓練があり、個別の目標に合わせて選べるか
- 企業実習、求人紹介、応募書類・面接の支援はどこまで受けられるか
- 就職実績だけでなく、どのような勤務時間・職種・定着支援につながっているか
- 体調悪化や人間関係の悩みが出たとき、誰にどのように相談できるか
見学で緊張するなら質問をメモにして持参し、家族や支援員に同席してもらっても構いません。少なくとも2〜3か所を見比べると、雰囲気や支援の違いが見えやすくなります。
»就労移行支援の選び方5選
まとめ
B型から就労移行支援への切り替えは、条件を満たせば可能です。
ポイントは、次の2つでした。
- 手順:B型の事業所や相談支援専門員に相談 → 見学・体験 → 市区町村で変更申請 → サービス等利用計画案の作成 → 支給決定 → 事業所と契約
- 変わること:工賃は原則出なくなります。利用者負担は、所得に応じた月額上限があります(0円〜37,200円)
後悔しない切り替えのコツは、勢いで決めず体験で確かめてから申請することです。
まずは、今のB型事業所や相談支援専門員に「一般就労を目指したい」と伝え、見学から始めましょう。1人で結論を急がず、使える支援を使いながら次の一歩を決めてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考資料
厚生労働省「障害福祉サービスについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
厚生労働省「就労選択支援について」(社会保障審議会障害者部会 資料、令和7年1月30日)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001389440.pdf
※2026年10月時点の情報です。制度は変わる可能性があるため、最新の運用は市区町村の窓口でご確認ください。








