「就労移行支援とA型事業所、どちらも名前は聞いたけれど、違いをうまく説明できない」
「選んだあとで、また合わなくて辞めてしまったらどうしよう」
“就労移行支援 A型 違い”と検索しているあなたは、そんな不安を抱えているのではないでしょうか。
僕自身、A型事業所で約1年働いたものの、環境が合わずに退職した経験があります。その後は、就労移行支援事業所を2つ利用してきました。1つ目の事業所では就職に至りませんでしたが、退所後に障害者職業センターの協力もあり、障害者雇用で1年働きました。障害者雇用の短期離職の反省を活かし、現在は2つ目の事業所で、就職に向けた準備を進めています。
この記事ではその経験を交えながら、就労移行支援とA型事業所の違いを比較表で整理します。
あわせて、A型・移行支援をそれぞれに向いている人の判断基準、お金の違い、そして同じ失敗を繰り返さないために選ぶ前に確認したいことまで解説します。
読み終えるころには自分にはどちらが合うのかを、根拠をもって決められるはずです。
結論から言うと、給料が出るかどうかだけで選ぶのはおすすめしません。「自分が無理なく続けられる環境かどうか」を軸に選ぶことが、長く働くための近道です。
就労移行支援とA型事業所の違い【比較表】
就労移行支援とA型事業所の一番大きな違いは、「就職の準備をする訓練の場」か「雇用契約を結んで働く場」かという点です。
まずは、違いを一覧で見てみましょう。
| 項目 | 就労移行支援 | A型事業所(就労継続支援A型) |
|---|---|---|
| 目的 | 一般企業への就職に向けた訓練と、就職活動・定着の支援 | 雇用契約を結んで働きながら、必要な支援を受ける |
| 雇用契約 | なし | あり |
| 収入 | 原則として給料はなし(事業所によっては工賃が支給される場合あり) | 給料あり(地域別最低賃金以上) |
| 対象者 | 一般企業への就職を希望し、雇用されることが可能と見込まれる人(原則65歳未満) | 一般企業に雇用されることは難しいが、雇用契約に基づく就労が可能な人(原則65歳未満) |
| 利用期間 | 原則2年(必要性が認められた場合、最大1年の更新) | 期間の制限なし |
| 主な内容 | ビジネスマナーやPCスキルなどの訓練、職場実習、求職活動の支援、就職後の定着支援 | 事業所内での軽作業・事務作業などの仕事(一般就労に向けた支援もあり) |
| 利用料 | 所得に応じた自己負担の上限あり | 所得に応じた自己負担の上限あり |
以下で内容を細かく見ていきましょう。
表から分かる3つのポイント
上記の表から次のポイントが分かります。
① 「働く場」か「訓練の場」か
A型は仕事そのものが中心で、就労移行支援は就職するための準備が中心です。
② 収入の有無
A型は給料が出ますが、就労移行支援は原則として給料が出ません(事業所によっては工賃が出ます)。お金の違いは、のちほど詳しく解説します。
③ 期間の考え方
就労移行支援には利用期間の期限があり、決まった期間で就職を目指すのが前提です。一方、A型には期限がありません。
実際に利用して感じた違い
僕が働いていたA型事業所では、勤務時間は9:30〜15:30(実働5時間)、月曜から金曜までの勤務で、土日は休みでした。
仕事内容は、書類作成補助、製本作業、CADを使った図面作成補助などです。
はる雇用契約を結んで働いていたため、2017年当時の毎月の収入は7〜8万円ほど(額面)ありました。
就労移行支援は2つの事業所を利用しました。
1つ目は在宅型の事業所です。通所は週1回、1日2時間ほどから始め、少しずつ1日6時間まで増やしていきました。
事業所から貸してもらったPCでデータ入力や、学生のテストの採点業務などに取り組み、工賃として月1〜2万円ほどが支給されていました。
2つ目は、現在利用している事業所です。基本は月曜から金曜の通所で、利用者数の都合により、土日にシフトが入ることもあります。訓練は10時〜15時で、事務訓練や就職活動に役立つ独自プログラムを受けたり、自分のPCを使って、個人的にやりたい訓練に取り組んだりしています。
両方を経験して感じた最大の違いは、周囲とのコミュニケーションの求められ方です。
併用はできる?
A型と就労移行支援の同時利用は、原則としてできません。
ただし、例外的に自治体の判断で取り扱いが異なる場合があります。
気になる方は利用を考えている事業所か、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で、事前に確認してみてください。
A型事業所と就労移行支援どっちを選ぶ?向いている人の判断基準
A型と移行支援、選ぶときの軸は給料の有無だけではありません。自分が無理なく続けられる環境かを、次の5つの質問で確かめてみてください。
| 判断軸 | あなたへの質問 | A型寄り | 就労移行支援寄り |
|---|---|---|---|
| ゴール | 最終的にどう働きたい? | まず働く場と収入を確保したい | 一般企業への就職を目指したい |
| お金 | 利用中に収入は必要? | 今すぐ給料が必要 | 収入が少ない期間を乗り切れる |
| 体調・生活リズム | 決まった時間に毎日働けそう? | ある程度安定している | 少しずつ慣らしたい |
| 人間関係 | 職場の対人面は大丈夫? | 仕事上の最低限のやりとりなら対応できる | 練習しながら慣れたい |
| 時間 | いつまでに就職したい? | 期限は決めず、ゆっくり進めたい | 期限内に集中して準備したい |
迷ったときの考え方
上記の表で当てはまる数が多いほうが、今のあなたに合う環境である可能性が高いです。
「お金」だけがA型寄りで、ほかは就労移行支援寄りという人もいると思います。その場合、利用中の生活費をどう確保するかを先に考えるのがおすすめです。詳しくは次の見出しで解説します。
なお、A型には利用期間の制限がないため、自分のペースで長く働き続ける選択肢にもなります。大切なのはどちらが上かではなく、今の自分が続けられるかです。
僕がA型を辞めたのは給料に不満があったからではありません。生活リズムが乱れたことや、職場の人間関係への不安、体調不良が重なったためです。



給料があっても続けられる環境でなければ長くは働けないと、身をもって感じました。
お金の違い|給料・工賃・利用中の生活費
お金の面でいちばん大きな違いは、A型は給料がもらえて、就労移行支援は原則として給料がもらえないことです。
ただし、就労移行支援でも事業所によっては工賃が支給されます。
僕が以前利用していた事業所でも月に1~2万円の工賃がでていました。
| A型事業所 | 就労移行支援 | |
|---|---|---|
| 収入の種類 | 給料(地域別最低賃金以上) | 原則なし(事業所によっては工賃) |
| 僕の場合 | 月7〜8万円(額面) | 1つ目の事業所で月数千円~1万円ほど(工賃) |
A型の給料は働く時間によって大きく変わります。僕は1日5時間、月曜から金曜まで働いて、月7〜8万円でした。
利用中の生活費はどうする?
収入が少ない期間の生活費は誰にとっても気になるところです。
僕がA型で働いていた頃は実家で暮らしていたので、生活費はあまりかかりませんでした。一人暮らしだったら、同じ収入で生活するのは難しかったと思います。
生活費の確保の仕方は人によって違いますが、公的な制度が使える場合もあります。代表的なものをまとめました。
| 制度 | どんなもの? | 相談先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険(基本手当) | 退職後、働く意思と能力があるのに仕事に就けない間に支給される給付(いわゆる失業保険) | ハローワーク | 原則として、離職前の2年間に通算12か月以上の加入が必要。就労移行支援の利用中に受け取れるかは、ハローワークで確認が必要 |
| 障害年金 | 病気やけがで、生活や仕事が制限される場合に受け取れる年金 | 年金事務所、市区町村の年金窓口 | 初診日の要件、障害の程度、保険料の納付要件を満たす必要があり、審査で受け取れない場合もある |
| 生活福祉資金(社会福祉協議会) | 低所得世帯や障害者世帯などを対象にした貸付制度 | お住まいの市区町村の社会福祉協議会 | 給付ではなく貸付なので、返済が必要。審査があり、ほかの制度が優先される |
| 生活保護 | 資産や能力、ほかの制度を活用してもなお生活に困る場合に、最低限度の生活を保障する制度 | 福祉事務所(町村部は役場) | 世帯単位で判断され、預貯金などの資産の活用が求められる |
どの制度が使えるかは、年齢、世帯の状況、これまでの加入歴などによって変わります。自分だけで判断せず、各制度の窓口に早めに相談してみてください。
早期離職を繰り返さないために、移行支援とA型を選ぶ前に確認したいこと
どちらを選んでも「合わなかった」「続かなかった」ということはありえます。
僕自身A型は約1年で辞め、1つ目の就労移行支援では就職に至りませんでした。その経験から、通い始める前に確認しておきたいことを4つにまとめました。
① 分からないことを相談できる人・仕組みがあるか
A型を辞めた理由のひとつは、分からないことを誰にも相談しないまま、不安を抱え込んでしまったことでした。



「誰に、どんなときに相談すればいいか」が決まっているか、スタッフに話しかけやすい雰囲気かを、見学や体験で確かめておくと安心です。
② 生活リズムを崩さずに通える日数・時間か
A型では生活リズムが乱れたことも退職の一因でした。通所の日数や時間を、体調に合わせて調整できるかを確認しましょう。
僕の1つ目の就労移行支援では、週1回・1日2時間ほどから始めて、少しずつ1日6時間まで増やしていけました。
③ 就職活動のサポート内容と、自分で動ける余地(就労移行支援の場合)
1つ目の事業所では就活で4社ほど応募しましたが、書類選考で通らず、就職に至らないまま利用期間が終わりました。
振り返ると、支援を待つだけでなく自分でも積極的に求人を探せばよかったと思っています。
求人の紹介方法や応募書類の添削、面接練習の有無を確認しておきましょう。
加えて、自分で見つけた求人への応募も支援してもらえるかも確認しておくと、より動きやすくなります。
④ 就職後・利用開始後のサポートがあるか
就職先で長く働くためには、就職して終わりではありません。就職後や利用開始後の相談先があることも大切です。
就職後・利用開始後に相談できる支援体制があるかは忘れず確認してください。



見学や体験利用で、これまで挙げた4点を自分の目で確かめたうえで選ぶと、選んだあとで後悔する可能性を減らせます。
僕の体験談|A型と就労移行支援2か所を利用して
ここまで制度の違いを説明してきましたが、最後に、僕自身がA型と就労移行支援を利用して、どうなったのかをお伝えします。
| 利用先 | 期間 | 結果 | 振り返り |
|---|---|---|---|
| A型事業所 | 約1年 | 持病の悪化、苦手な業務に悩み退職 | 分からないことを周囲に相談すればよかった。服薬を途切れないようにすればよかった |
| 就労移行支援(1つ目・在宅型) | 約2年9か月(コロナ禍で1年延長) | 4社ほど応募したが、書類選考で通らず、就職できないまま終了 | 自分でも積極的に求人を探せばよかった |
| 就労移行支援(2つ目・通所型) | 現在利用中 | 就職に向けて準備中 | — |
A型と1つ目の移行支援の反省をもとに、2つ目の事業所では次の2つを心がけました。
① 通所型の事業所を選ぶ
1つ目が在宅型だったので、2つ目は通所型を選びました。社交不安がある僕が、在宅で訓練や仕事を続けることで、余計に人と接することが苦手になってしまうのが怖かったからです。
② 自分から動くようにしている
訓練を受けるだけでなく、自分でも積極的に求人を探したり、プログラムに参加したりするようにしました。
現在は実習に向けてプログラムの受講や安定した通所、必要書類の準備を進めています。就職という結果はまだ出ていません。



それでも、事業所を選ぶ前に確認すること、通い始めてから自分から動くことを意識するだけで、前回までとは違う進め方ができていると感じています。
まとめ|自分が無理なく続けられる環境で選ぼう
この記事のポイントを整理します。
- 違い:A型は雇用契約を結んで働く場、就労移行支援は一般企業への就職に向けた訓練の場
- お金:A型は給料がもらえる。就労移行支援は原則として給料はなく、事業所によっては工賃が出る
- 選び方:給料の有無だけでなく、ゴール・お金・体調・人間関係・時間の5つで考える
- 確認すること:相談できる人がいるか、生活リズムを崩さず通えるか、就職活動のサポート内容、就職後のサポート
大切なのは自分が無理なく続けられる環境かを軸に選ぶことです。
事業所のホームページやパンフレットを読んだだけでは、事業所の雰囲気やスタッフに相談しやすいかどうかは分かりません。気になる事業所があれば、見学や体験利用でこの記事の確認ポイントを確かめてみてください。
見学のときに聞いてみたいことは次のとおりです。
- 分からないことは誰にどのように相談できますか?
- 通所の日数や時間は体調に合わせて調整できますか?
- 求人はどのように紹介してもらえますか?自分で見つけた求人への応募も支援してもらえますか?
- 就職したあとも相談できる支援はありますか?
見学したからといって必ず利用する必要はありません。
まずは気軽に話を聞くところから始めてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。









