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「やりたいことが分からない」発達障害の大学生へ|やりたい仕事の見つけ方

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この記事のポイント
やりたい仕事は自己理解から見つかる
支援機関・インターン・就職エージェントを使えば、1人で悩まずに前へ進める

「周りはどんどん就活を進めているのに、自分は何がやりたいのか分からない」――発達障害のある大学生から、もっとも多く聞かれる悩みのひとつです。

結論からお伝えすると、やりたいことは頭の中で考え込んでも出てきません

自己理解、つまり自分の特性を強みと弱みの両面から客観的に知ることが、適職への最短ルートです。

この記事では自己理解の進め方から、就労形態の選び方、活用すべき支援機関までを順を追って解説します。

目次

やりたいことが分からないのは特性を言語化できていないから

やりたいことが見えないのは、能力や努力が足りないからではありません。多くの場合、自分の特性がまだ言葉になっていないだけです。

特に発達障害の特性は、環境や仕事内容によって長所にも短所にもなる性質をもっています。短所の面にばかり目を向けていると、自分に何ができるのか分からないままです。

僕の例ですと、融通が効かない・引き際が分からない・主体性がない。これらの短所は環境が変わると、継続力がある・あきらめが悪い・素直という長所になりました。

このように同じ特性でも、見方や環境が変われば評価が逆転します。

何がやりたいかよりも先に、自分はどんな環境で力を発揮できるのかを知ることが、適職を見つける出発点になるのです。

頑張ってもうまくいかなかった原因が特性にあると分かれば、自分を責める段階から具体的な対策を立てる段階へと進めます。

次は特性の二面性について詳しく見ていきましょう。

特性の二面性を知る|あなたの短所は強みかもしれない

前のトピックで挙げた「融通が効かない」「引き際が分からない」「主体性がない」という僕の短所は、実はASDやADHDの特性としても見られる傾向です。まずは自分がどんな傾向を持っているか、どんな仕事で活きるのかを大まかにつかんでみましょう。

ASD・ADHD傾向ごとに、短所として出やすい面、強みになる面、活きやすい職種の例を表にまとめました。

はる

あなたに近いと感じる方を意識しながら読んでみてください。

傾向苦手なこと得意なこと向いている職種例
ASD傾向変化に弱い
曖昧な指示や空気を読む
こだわりが強い
高い集中力
ルール遵守
細部への気付き
データ入力、品質管理、経理、IT系職種
ADHD傾向ミス・抜け漏れ
注意散漫
やる気のムラ
発想力
行動力
興味分野への没頭
クリエイティブ職、企画職、Webディレクター

たとえばこだわりが強いという特性は、品質管理では強みになりますし、興味分野への没頭は専門職では武器になります。

短所と思っていた特性を、活かせる場所で使うこと。適職探しの本質です。

自己理解が難しい理由と、それを言語化する4つの項目

発達障害がある方は、自分や他者への認識にバイアスが生じやすく、自己理解が難しくなる傾向があると言われています。

たとえば対人関係の場面では、相手の表情や声のトーンを読み取りにくく、悪意のない指摘を攻撃されたと誤解してしまうことがあります。心理学では、相手の意図を実際以上に悪意あるものと捉えてしまう傾向を“敵意帰属バイアス”と呼びます。

一方で対人関係のつまずきが積み重なると、「自分はダメな人間だ」という結論を出してしまうことがあります。一度や二度のつまずきという限定的な出来事から、人格全体に関わる結論を導き出してしまうのです。心理学ではこれを“過度の一般化”と呼ばれる認知の歪みと言います。

さらにこの状態が進むと、「自分は欠陥がある人間だ」と自分自身にネガティブなレッテルを貼ってしまう“レッテル貼り”という歪みも重なってくることがあります。

認知の歪みを緩めるには、雑談などの特定場面と、1対1の深い会話など別の場面を分けて捉え直す練習が、第一歩になります。

それに加えて、自分の特性を”感覚”ではなく”言葉”として整理しておくことも、認知の歪みに引っ張られすぎない自己理解につながります。そこで役立つのが、次の4項目を紙やスマホに書き出す作業です。

  • 具体的な症状:日常生活や作業にどう影響するか
  • 得意・不得意:視覚優位・聴覚優位などの感覚特性も含めて
  • 自分なりの対処法:メモの活用、ツールの使用、服薬管理など
  • 職場に希望する配慮:指示の明確化、静かな環境、通院時間の確保など

これらは面接で特性・対処法・必要な配慮を具体的に伝えるのにも役立ちます。

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結果として入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。

そして4項目が整理できると、”自分にできること・向いていること”がハッキリと見えてきます。やりたい仕事を選ぶ際の判断材料にもなっていくはずです。

やりたいことが漠然とした願望じゃなく、“自分が無理なく貢献できる仕事”として具体的に見えてくるでしょう。

働き方を選ぶ|オープン就労とクローズ就労の違い

やりたい仕事の方向性が見えてきたら、次はどう働くかです。

障害を開示して働くオープン就労か、開示しないクローズ就労かは、キャリアの安定性を大きく左右します。

オープン就労(障害者枠中心)のメリット・デメリット
メリット:合理的配慮が受けられる/職場定着率が高い(精神障害で1年後 約70%)/大手企業の求人が豊富/障害を隠すストレスがない
デメリット:求人の絶対数が一般枠より少ない/職種が事務職などに限定される場合がある

クローズ就労(一般枠)のメリット・デメリット
メリット:求人数が圧倒的に多い/全業種・全職種から選べる/キャリアアップの幅が広い
デメリット:合理的配慮が原則受けられない/職場定着率が低い(精神障害で約30%)/障害を隠し続ける負担や二次障害のリスクがある

定着率の差は、「長く働き続けられるか」に直結する重要なデータです。

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僕自身、A型事業所と障害者雇用の一般職では、突然声が出たり体が動いたりしてしまうチック症について、「わざとじゃない」と理解してもらえました。

理解してもらえたおかげで、症状を隠す緊張がほとんどなく働けたのを覚えています。

一方、接客のアルバイトでは苦手な臨機応変な対応への配慮がなく、常に神経をすり減らしていました。
接客中に客のクレーム処理がうまくできず、怒鳴られたこともありました。

このような合理的配慮などの差こそが、定着率70%と30%を分けているんだなと身をもって実感しています。

知っておきたい|障害者枠だから給料が下がるわけではない

「障害者雇用は給料が低い」という誤解がありますが、正確には「障害を理由に賃金を下げること」自体が、障害者雇用促進法で禁止されています。

募集・採用・賃金・配置・昇進・降格・教育訓練など、雇用のあらゆる場面で、障害を理由とした不利な取り扱いは差別として扱われます。

不利な扱いは新卒・中途採用両方で禁止されています。

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ただし、法律で差別が禁止されていても、現実の賃金水準には差があります。

厚生労働省の調査では、障害種別によって平均賃金に開きがあり、業務内容や雇用形態によっても大きく変わります。

つまり、「障害者枠だから初任給が低くなる」のではなく、「どんな業務内容・雇用形態を選ぶか」が待遇を左右する本質です。

枠にとらわれず、業務内容と条件を見極める視点が次のトピックの戦略で活きてきます。

オススメは「併用戦略」|両方の枠で進めて最後に選ぶ

障害者枠と一般枠のどちらが合うか迷うなら、両方を並行して進める「併用戦略」が有効です。

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特に、どちらにも適性がある人には併用戦略がオススメです。

僕も就労移行支援を利用中で、障害者枠と一般枠のオープン就労という併用戦略で進めています。
僕はすでに社会人ですが、大学生でも進路に迷ったら同じ考え方が使えます。

併用戦略の強みは複数内定さえ得られれば、やりたい仕事と働きやすさを、実際の配慮内容や業務条件に基づいて天秤にかけられることです。

ただし注意点もあります。

一般枠は早期に動く求人が多く、障害者枠は通年採用も多いため、内定時期がずれやすい点です。
面接で語る自己PRの軸も異なります。

障害者枠では特性と配慮事項を具体的に説明しますが、一般枠では言及自体が任意です。

他にも一般枠が先に決まりやすいため、選考の早い段階で「検討期間をどのくらいもらえるか」を確認しておくと、比較のタイミングを逃しにくくなります。

1人で悩まない|やりたい仕事に近づくための実践と支援機関

自己理解が進んでも1人で就活を進める必要はありません。

実践と専門機関を組み合わせることで、迷いは着実に減っていきます。

インターンシップで働く自分を試す

発達障害のある学生にとって、インターンは単なる就業体験以上の意味をもちます。

課題の発見:タスク管理、報連相、感覚過敏など、現場特有の課題をリスクの少ない環境で確認できる

対策の試行:メモの取り方や質問の仕方を試し、自分に合うスタイルを作れる

アピール材料:「困難にどう工夫して対処したか」という具体的エピソードは、面接での説得力を高める材料になる

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やりたい仕事かどうかは実際にやってみて初めて分かることも多いものです。

インターン(職場実習)は、頭で悩むステップから試して確かめるステップへ進むための有効な手段です。

目的別に使い分けたい支援機関

就活は1人で抱え込む必要はありません。発達障害がある人が使える支援機関には、以下のようなものがあります。

障害者専門の就活エージェント:非公開求人の紹介、ES添削、模擬面接、企業への配慮事項の交渉まで、マンツーマンで伴走します。早く内定を決めたい人にオススメです。

就労移行支援事業所:ビジネススキル・ITスキルの習得、体調管理の訓練、入社後の定着支援まで一貫してサポートします。まずは働く土台を整えたい人に向いています。

大学のキャリアセンター・障害学生支援室:学内で気軽に相談でき、一般的な就活マナーの指導も受けられます。在学中で身近な相談先を探している人に向いています。

ハローワーク(障害者専門窓口):専門援助部門が窓口となり、求人票の書き方や面接指導、職業適性検査、就職後の定着支援まで対応します。求人掲載が無料のため、地元の中小企業の求人が多いのも特徴です。地域で働き先を探したい人に向いています。

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4つの支援機関は基本的に併用できます。

エージェントで求人を探しながら就労移行支援で土台を整える、という組み合わせも可能です。

ただし就労移行支援事業所によっては、自社エージェント以外の併用を制限している場合もあるため、通所前に確認しておくと安心です。

やりたいことが分からない段階でも、支援機関の相談員と対話を重ねることで、方向性は少しずつ固まっていきます。

発達障害の方が利用できる支援機関を以下の記事でまとめました。
»発達障害がある人が利用できる就労支援機関4選

ネガティブな伝え方をポジティブに変換する|合理的配慮の上手な伝え方

2016年から障害者雇用促進法により、事業主には職場での合理的配慮の提供が義務づけられています。

これは障害者手帳の有無に関わらず、長期的に就業に制限がある人が対象です

ただし企業にとって”過重な負担”となる場合は、企業側の配慮義務が対象外となる点も押さえておきましょう。

だからこそ、企業が「対応できそうだ」と感じられる伝え方をすることが重要になります。

そのポイントは、伝え方をネガティブからポジティブへ変換すること。

❌ 「聴覚過敏で騒音が苦手です」
⭕ 「聴覚過敏がありますが、イヤーマフの使用や静かな座席配置を許可いただければ、集中して正確に業務を遂行できます」

配慮は一方的なわがままではありません。

適切な配慮によって本来のパフォーマンスを発揮できれば、企業にとっても戦力になり、双方の利益になる調整です。

この視点をもてると、面接でも自信をもって自分を伝えられます。
»障害者雇用で精神障害者が受けられる合理的配慮9選

まとめ:「自分だからできること」を大切にすれば、やりたい仕事は見つかる

やりたいことが分からないのは、あなたに能力や意欲がないからではありません。自分の特性を、まだ言葉にできていないだけです。

最後に、適職を見つけるための3ステップを振り返りましょう。

早期の自己分析:主治医や専門家と連携し、強みと弱みを棚卸しする

情報の武器化:賃金差別の禁止や職場定着率のデータをもとに、戦略的に就労枠を選ぶ

外部リソースの徹底活用:インターンでの試行錯誤、専門エージェントや支援機関の伴走を、ためらわず受ける

自分の特性をプラスに変え、「自分だからできること」を大切にする。この姿勢がやりたい仕事と長期的なキャリアの安定につながるカギです。

まずは今日、自己理解を深めるための4つの棚卸し項目を書き出すことから始めてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

僕が大学生だった頃の失敗体験から、あなたが就活を進めるのに有益な情報を以下でまとめています。
»チック症・発達障害の大学生の困りご

はる
ブロガー/webライター

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