- A型事業所に興味があるけど、実際に利用した人はどんな1日を過ごしているの?
- 実際に利用してみて良かったことは何?
- 就労経験がない自分でも働けるかな?
A型事業所に関して、こういった疑問をもってこの記事にたどり着いたのではないでしょうか?
この記事では、僕のA型利用の体験談を通じて、A型事業所のリアルをお届けします。
はるこの記事を読み終える頃には、A型で働くことが鮮明にイメージできるはずです。
筆者がA型事業所を1年利用した体験談
はじめに、僕がA型事業所を1年間利用した体験談をお伝えします。
実は僕もこのときのA型事業所での就労が、大学卒業後のはじめての就労でした。
ですので、働いた経験がないからと不安に思う必要はありません。安心して読み進めてください。
A型事業所に通う前にはどんな不安があったか?
僕がA型事業所で働いたのは2017年、24歳のときです。
大学在学中は精神疾患のせいで3年生まであまり大学に通えませんでした。そのため4年生以降は単位取得に追われ、就活を満足に進められませんでした。
加えて、発達特性があり、結局在学中に進路は決まらずに卒業しました。計画的な就活ができず、具体的にどうやって就活を進めたらいいいかも分からなかったのです。



僕にはアルバイト以外の就労経験がなかったため、さまざまな不安がありました。
1つ目が、障害を理解してもらえるのかな?という不安です。
今までの学生生活で僕のチック症に対する理解は得られてきませんでした。理解を得るどころか、陰口やからかいなども経験しました。
おそらく陰口などの理由は、自分がチック症について知識がなかったため、周りに症状の説明ができなかったからです。
説明して理解してもらえるという体験をしたことがなかったため、A型で働く際に障害を理解してもらえるか不安でした。
2つ目が、働いたことがない自分でも働き続けられるのかな?という不安です。
アルバイトすら1年以上長続きせず辞めた経験があったため、A型事業所で働き続けられるか、とても不安でした。
3つ目が、どんな仕事内容なんだろう?という不安です。
全くPCを使えないにも関わらず、PCを使った仕事をするA型事業所を選んだため、仕事内容が全然イメージできませんでした。
果たして自分にこなせる仕事内容なのか、体験開始までずっと不安でした。
1年A型事業所に通ってみて良かったこと
僕が1年間A型事業所で働いてみて良かったことは以下の5点です。
- 障害への理解がある環境で働けた
- 働くことへの自信がもてた
- 他人とコミュニケーションをとる喜びを発見できた
- PCを使った仕事に集中できると知れた
- 生活習慣が整った
順番に見ていきましょう。
障害への理解がある環境で働けた
1つ目は障害への理解がある環境で働けたことです。



理解ある環境は僕がA型で働く中で1番影響が大きかったです。
小学校~大学まで、精神障害、特にトゥレット症候群への周知や理解を得られずに過ごしました。
そのせいで陰口やからかいなど、本来は体験しなくていいツラい思いや心配をしてきました。
ですので、理解ある環境は喉から手が出るほど欲しかったです。
»【3歳から32歳までのチック症体験談】実体験から学んだ対処法
面接の段階でチック症について事業所に説明していたため、チックが出ても誰も奇異な目で見なかったし、チックについて説明しなくても受け入れられていました。
A型事業所はいろんな障害をもつ人が集まっているため、働く利用者も理解があるのだと思います。



理解がある環境に加え、働く利用者の方たちと気軽に雑談を交わすくらい仲良くなれました。
チック症への理解は、症状について心配しなくていいという安心感をもたせてくれました。この環境のおかげで、症状をほとんど気にせず作業に集中することができました。
同じように障害特性で悩んでいるあなたも、あなたにあった環境をじっくり選ぶことをオススメします。
働くことへの自信がもてた
2つ目は働くことへの自信がもてたことです。
大学卒業後の初めての雇用ということで、ちゃんと働けるか心配でしたが、分からないことは丁寧に教えていただけました。
最初は1日4時間の就労でしたが、時間が経つのがあっという間でした。しばらくして1日5時間就労に増えたあとも、負担なくこなせました。



数カ月もすると、利用者や支援員の方たちから信頼されているのが分かり、誇らしかったです。
しばらく働くと、僕が他の利用者さんに教える立場になっていました。
仕事で他の人に教えるのは始めてでしたが、とてもいい経験になりました。今でも成功体験として残っています。
A型で働いたのは1年という短い期間でしたが、A型での就労を経験したことで、働くことへ自信がもてました。
他人とコミュニケーションをとる喜びを発見できた
3つ目は他人とコミュニケーションをとる喜びを発見できたことです。
これは僕の中ですごく大きい発見で、自分に合う環境でなら、安心して自分を出せるなと分かりました。
A型事業所では他の利用者の方、支援員の方と話す機会がたくさんありました。
僕はたくさん話すことが得意じゃありません。ですがA型事業所の利用者の方たちがとてもフレンドリーだったおかげで話しやすかったです。
具体的にどんな話をしたかというと、休憩中に共通の趣味のアニメの話やゲームの話をして盛り上がりました。
人と話すことが楽しいと思えたのです。自分にも雑談ができるんだと自信になりました。
僕のようにコミュニケーションが苦手でも、相手や環境によっては会話を楽しめます。



会話への苦手意識は自分の性格というより環境のせいなのかもしれません。
PCを使った仕事に集中できると知れた
4つ目はPCを使った仕事に集中できると知れたことです。
僕はPCを使った業務に興味があり、PCを使った仕事ができるA型事業所を選びました。



PCを使った業務をしていると、時間が経つのがあっという間でした。
製本や押印作業を行うこともありましたが、そういった軽作業よりもPCを使った仕事のほうが時間が経つのが早く感じたのです。
具体的にはPCでCADという図面を描くソフトを使ったり、書類を作ったりしていました。
A型事業所での業務経験をとおして、PCを使った仕事なら集中力が続くという自分の強みを知ることができました。
生活習慣が整った
5つ目が生活習慣が整ったことです。
9時半~15時半まで仕事をしていたため、朝早く起きて日中活動するというリズムができていました。



決まった時間に起きて、お昼もしっかり食べる生活を続けるうちに、以前より気分の落ち込みが減り、仕事にも集中しやすくなりました。
生活習慣が整うことは、仕事・体調・人間関係など、さまざまなことにプラスに働きます。
このように生活習慣を整えられたので、A型事業所に通ってよかったなと思います。
A型事業所で働く中できつかったこと
反対に、僕がA型事業所で働く中できつかったことは以下の3点です。
- 対人の作業は気持ちが辛かった
- 職員に叱られた
- 他人が注意されているのを見ていた、自分の気持ちも落ち込んだ
順番に見ていきましょう。
対人の作業で気持ちがつらくなった
1つ目は、対人の作業で気持ちがつらくなったことです。
普段PCに向かう作業は問題なくこなせていたのですが、対人の業務になった途端、かなり負荷がかかっていました。



具体的には、自分が覚えた業務を新しく入ってきた利用者に教えることや、動画撮影の許可をとることなどです。
ただ、同じ「対人」でも難易度には差がありました。業務を教えることは、話す内容がある程度決まっているため、なんとかこなせました。
一方動画撮影の許可をとるのは、どういう振る舞いで、誰に、どう声をかければいいか、その場で判断する要素が多く、強い負荷がかかりました。
結局、生活習慣の乱れによる体調不良も重なって対応しきれませんでした。
この経験から得た学びは、自分は「対人が苦手」なのではなく、話す内容や手順があらかじめ決まっているかどうかで、対応のしやすさが大きく変わるということです。
予測可能な業務であれば、対人でもこなせる余地があると気づけました。
職員に叱られた
2つ目は職員に叱られたことです。
当時の僕は悪気はなかったのですが、朝礼に遅れ、職員から叱られました。
というのも、併設された就労移行支援の職員に動画制作を頼まれていて、打ち合わせを朝していて、朝礼に遅れてしまいました。



業務外のこと頼むならA型の職員にも共有しておいてくれよと思いましたが、遅れた自分が悪いです。
持病の双極や社交不安の症状もあり、少しのことで気分を落としやすかった僕は、叱られて落ちこんでしまいました。
このできごとから得た学びは、自分は予定が急に重なったり板挟みになったりする状況に弱く、そういう場面では特に確認を丁寧にする必要があるということです。
双極や社交不安の症状もあり、叱られると必要以上に落ち込んでしまう自覚があります。
だからこそ、落ち込む原因そのものを減らせるよう、複数の依頼が重なったときは早めに各所へ共有する、という対策を意識するようになりました。
他人が注意されているのを見ていたら、自分の気持ちも落ち込んだ
3つ目は、他人が注意されているのを見て、自分まで精神的に消耗してしまったことです。
僕は障害特性上、周囲で起きているトラブルを「自分ごと」のように感じてしまう傾向があります。A型事業所で勤務した1年の中で、他の利用者の方が職員からかなり強い口調で注意されている場面に、2回ほど遭遇しました。
頻度としては多くありませんが、その場では動悸がするほど反応してしまい、その後しばらくは事業所に通うこと自体が億劫に感じられました。
正直なところ、この特性への対処法はまだ見つかっておらず、現在も課題として残っています。
「自分は悪くない」と頭では分かっていても、感情的な反応まではコントロールしきれない、というのが実感です。
周囲のトラブルに影響されやすい人は、事業所の雰囲気(職員の指導スタイル)を見学時に確認しておくといいでしょう。
こうしたキツさも含めて、A型事業所での1日がどんなものなのか、次に具体的な流れを紹介します。
A型事業所の1日の流れ
A型事業所では、体調に無理のない時間設定で働けるのが特徴です。
僕が実際に通っていたときの、1日のスケジュールを紹介します。
| 時刻 | 内容 | 具体的にやっていたこと・感じたこと |
|---|---|---|
| 9:30 | 出勤 | 出勤時間は契約や体調に応じて調整可能(人によって異なる) |
| 10:00 | 朝礼・体操 | その日の連絡事項の共有と、ラジオ体操のような軽い体操 |
| 10:15 | 業務(午前) | CADでの図面作成補助や、コンビニ建設にかかる製本作業がメイン |
| 12:00 | 昼食 | 持参のお弁当。テーブルを囲んで利用者同士でワイワイ話しながら食べていた |
| 13:00 | 掃除 | 全員で担当箇所を分担して清掃 |
| 13:15 | 業務(午後) | 午前と同じくCAD補助・製本作業を継続 |
| 15:30 | 退勤 | 退勤時間も人によって異なる。短時間勤務から始められる |
※上記は僕が通っていた事業所の一例です。作業内容や時間は事業所によって異なります。
昼食や休憩の時間は、利用者同士で話す雰囲気はありつつも、全体的には静かで、一人で過ごしている方もいました



自分のペースで過ごせる空気だったのは、僕にとってはありがたかったです。
はじめは実働4時間の短時間からスタートできたので、体調的にはかなり楽でした。
正直、少し物足りなさを感じることもありましたが、無理なく仕事のリズムに慣れていけたのは大きなメリットでした。
A型事業所の利用に向いている人の特徴
ここまで良かったこと・きつかったことの両方を紹介してきました。
それらを踏まえて、A型事業所の利用に向いているのは、次の5つの特徴をもつ人だと僕は感じています。
一般就労はまだ不安だが、働くリズムを取り戻したい人
A型事業所は雇用契約を結んで働くため、最低賃金以上の給料が出ます。
いきなり一般企業で働くのは体調的に不安、でも収入ゼロのブランクは避けたい——僕自身がまさにこの状態で、短時間から働くリズムを取り戻せたのは大きな収穫でした。
収入より「安定して通えること」を優先できる人
正直に言うと、A型事業所の給料は一般就労ほど高くありません。
それでも決まった時間に通い、決まった作業をこなす生活のベースを作れる価値は大きいです。



今は収入額より生活の安定を優先したい、という人にA型事業所は向いています。
毎日通所するだけの精神的エネルギーがある人
通所するだけのエネルギーがあるか。これは意外と見落とされがちですが重要です。
「働く」以前に「通い続ける」こと自体に一定のエネルギーが要ります。
僕は他の利用者が注意される場面に居合わせただけで通所が億劫になったことがあります。
最低限のコミュニケーションが取れる人
高度な会話力は必要ありません。
ただ、相手の話を理解して返答できる、お礼が言える、挨拶ができるなど、人として最低限のやりとりができるかどうかは、続けやすさに直結すると感じました。
作業は1人で進める場面が多くても、職員や他の利用者との最低限の関わりは避けられないからです。
決まった時間に通い、作業を淡々と続けられる人
逆に言うと遅刻が多かったり、作業が極端に遅かったりする人は、A型事業所であっても続けるのが難しくなります。
僕が働いていたA型でもよく遅刻する利用者がいましたが、仕事をあまり振られることがありませんでした。
補足:スキル習得を目的にするのはオススメしない
ひとつ正直にお伝えしておきたいのは、A型事業所をスキルを身につける場所として過度に期待しないほうがいい、ということです。



僕はCADの図面補助や製本作業を経験しましたが、これらはあくまで作業であり、体系的なスキル習得を目的とした場ではありませんでした。
あくまでも「働くことに慣れる」のが主目的で、スキルはおまけのおまけ程度に考えておくのが現実的です。
もし専門スキルの習得が第一目的なら、職業訓練校や就労移行支援など、別の選択肢も検討する価値があります。
まとめ:A型事業所は、働くリズムを取り戻したい人の選択肢になる
A型事業所は「いきなり一般就労は不安だけど、少しずつ働くことに慣れたい」という人にとって、現実的な選択肢のひとつです。
僕自身、1年間働いてみて、良かったこともきつかったこともありました。
給料が一般就労ほど高くないことや、周囲の環境に気持ちが左右される場面など、決して良いことばかりではありません。



それでも、決まった時間に通い、自分のペースで作業を続けるなかで、働くリズムと生活の土台を取り戻せたのは、間違いなく大きな収穫でした。
大切なのは、A型事業所に何を期待するかを自分のなかではっきりさせておくことです。
スキル習得を第一に求めるなら別の選択肢が向いていますし、「まずは働くことに慣れたい」なら、A型事業所は十分に検討する価値があります。
この記事が、あなたが自分に合った一歩を選ぶための参考になれば嬉しいです。
まずは気になる事業所を見学し、実際の雰囲気を自分の目で確かめてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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